ソロギターというのはひとりで好きな曲を完結できる楽しさがありますよね。
このご時世、複数人で集まって音楽をするというのがやりづらい状況ということもあり、ソロギターにチャレンジしたいという方も増えてきているのではないでしょうか。
ソロギターはバンドとは違って譜面を使って練習するのが主流というイメージがあります。有名曲はソロギターアレンジ集などにも載っていて充実していますよね。
私自身めんどくさがりなので、ソロギターは譜面さえあれば既存のものを使って弾いてしまうことが多いです。が、どうしても弾きたい曲の譜面がない時もあります。
せっかく弾きたい曲があるなら弾きたいよね、ということで自分でソロギターアレンジをはじめてみたところ、やろうと思えばできる…という感想を持ちました。
アレンジというと難しいような気もしますが…ちょっと弾いてみたい曲を自分の演奏できる範囲でアレンジするくらいでも結構遊べます。
今回は私のソロギターアレンジのやり方、「サンドイッチメソッド」をご紹介したいと思います。
高度な技は抜きにして…入門編といった感じで、ソロギターのアレンジってハードル高いな、と思っていた方の背中を押すことができたら嬉しいです!
サンドイッチメソッドとは
サンドイッチメソッドというヘンな名前をつけましたが、どういうことかというと…
なんでもいいんですが、例えば、「チキンサンド」を思い浮かべてください。
チキンとパンと調味料があれば一応成立しますよね?そして、トマトとか、レタスとか、好きなトッピングをしていくと少しずつリッチなサンドイッチになっていきます。
豪華なコッテリ全部入りチキンサンドが元の曲だとしたら、ソロギターのアレンジは、まずパンとチキンから。
レシピにするとこんな感じでイメージしていただければと思います。
- サンドイッチのサイズを決める(構成)
- チキンを焼く(メロディー)
- パンにのせる(ベース)
- 味付け(コード)
- 持ってる具材をトッピング(映え要素)
それでは、実際に私が最近アレンジしたものを例に、サンドイッチメソッドの解説をしていきたいと思います。
サンドイッチのサイズを決める(構成)
元の曲を聴いてどのくらいのボリュームに仕上げるのかを決めます。
原曲そのままの構成でやるのか、ワンコーラス分だけコンパクトに弾くのか…などなど、メニューに載せる写真を思い浮かべるような感じでザックリと決めていきます。
私はなんとなくtwitterに載せられるくらいの2分程度のサイズだと弾くのも時間がかからないし、丁度いいかなーといった具合に決めていきました。
先ほど例として載せた動画の「四天王バトル」は、ゲームの曲なので1回のループが2分程度と非常にコンパクト。なのでそのままの構成を採用しました。
構成を考えることで、アレンジ作業の全体像が見えてきます。繰り返しポイントがあれば、コードは流用できるから、作業量が減るぞ…などなど。
まずサイズを決めておくのはアレンジのモチベーション維持のためにもおすすめです。
チキンを焼く(メロディー)
サンドイッチの主役は中身の具材、メロディーです。
アレンジの場合は、耳コピをするか、メロディー譜があればそれを参考に作ってしまいます。譜面と仲良しの人は、メロディーを五線譜に書きとめていくと後々のアレンジが楽です。
私は最近「muse score」という譜面作成ソフトが優秀だということに気づき、利用しています。
何がすごいって、五線で打ち込むと、自動でTAB譜にしてくれるので、後で弾く弦の調整だけすればTAB譜も一緒にできてしまうこと。
アレンジしたものをそのまま譜面として残せますし便利です。これで無料というのもすごいので、ぜひ使ってみてください。
パンにのせる(ベース)
メロディーができたら今度は全体の輪郭を作っていきます。ベースを入れる作業です。
これも、コード譜があるときはそれを見ながら、ない場合はそのまま耳コピという形を取っていきます。
ベースを作る上では、何の音を弾くかはもちろん、リズムをどう取っていくかというところも合わせて作ります。
「四天王バトル」では、基本はメロディーとベースから構成しているのですが、疾走感を出したい時には譜割りを細かくしています。
ちなみに、この時元の曲の持つ雰囲気もあるので、そのままのリズムでもいいのですが、メロディーを弾きながらどうしてもできないリズムもあるので、自分が弾ける範囲におさめると楽です。
実はここまでできると、ちょっとだけソロギター感が出てきます。弾いてみると一応成立するので、「素材の味が楽しめる最低限のチキンサンド」ができたことになります。
味付け(コード)
最低限のチキンサンドができたといっても、ちょっと物足りないですよね。ここで、内声(=コード)を入れて味付けしていきます。
骨組みはできているので、コードを入れるのは本当に必要なところだけでも大丈夫です。あっさり塩にするの?こってりソースにするの?的なところはお好みで。
「四天王バトル」では、全体的には最低限の和音を入れてます。あっさり目の味付け。
この曲のこだわりポイントと言えば、テーマのど頭(0:10〜)にある特徴的なディミニッシュコード。ここはボス戦のこわい雰囲気を出すために思いっきりコードを弾いています。トウガラシ入れちゃった、って感じですね。
その後もキメのところではコード感を出すために4音以上の和音を弾いていますが、基本はメロディー+1音+ベースといったかたち。塩味。
この味付けは、コード譜があるとやりやすいですが、ない場合は耳コピで特徴的な音を探して、メジャーなのか、マイナーなのか、セブンスなのか…くらいのコード感がわかるようにしていきます。
ちなみに、ベースとコードを別工程のように書いてはいますが、この2つはほぼ同時進行です。チキンに塩を振りながらパンに挟む感じ。
この時に、メロディーを弾きながらいかにベース音と内声を共存させて、滑らかにつないでいくかというのが腕の見せ所で、弾きやすさにも関わってくるので運指も一緒に決めながら作ってしまいます。
ここまででだいぶソロギターらしくなります。これで終了してもいいのですが、もうちょっと頑張りたい方はトッピングに行きましょう。
持ってる具材をトッピング(映え要素)
トッピングなので、サンドイッチ屋さんで追加料金払うかどうかくらいに考えていただければと思います。好みの問題、あってもなくても大丈夫という感じです。
こういう風にしたらカッコイイんじゃない?ポイントを作る。映えるサンドイッチにするためのひと工夫をする工程です。
「四天王バトル」では最低限で作ったのでこれといったトッピングをしていませんが、強いて言えばちょっとギター叩いてリズム出したところでしょうか…撮影してみたらちゃんと音入ってなかったんですが。笑
トッピングのパターンでありそうなのはこんなところでしょうか。これは私の手持ち素材なので、もっと引き出しがある方はお手持ちの素材を入れてみてください!
- 音をつなぐ時にスライドしてギターらしくする
- エフェクト的な音を入れる(パーカッション的な表現など)
- 和音を複雑にしてかっこよくする
パーカッション的な表現については、「ハッタリソロギター!テクニック解説」という記事でご紹介しています。
ソロギターは総合力が鍛えられる
ソロギターは一人でメロディーも、伴奏も、全て成立させる演奏です。なので、弾くだけでも音楽的な総合力が鍛えられるんじゃないかなあと思っています。
最近は不精してあまりアレンジをしてこなかったのですが、実際にやってみると、曲の構造をじっくり考えたり、ギターでできる表現を考えたりして、ソロギター以外の練習と結びつくこともあり、いい練習になるなーと思っています。
時間はかかるけれども、一つの練習材料として、そしておうち時間の過ごし方の一つとして、アリなんじゃないかなあと思いました。
ぜひチャレンジしてみてください!
私がアレンジした曲のTAB譜もPiascoreで販売中です。お好きな曲があればチャレンジしてみてください!