先日、とある舞台に行きました。
開演を待っていると、オーケストラピットからウォームアップ中の音が。
後方の席だと音量の大きい管楽器や打楽器がよく聞こえるのですが、今回たまたま最前列で、ギターの音もしっかり聞こえてきました。
「最前列ってこういう意味でもおいしいなー」なんて、ニマニマしながら耳を傾けていると・・・
ものすごくベーシックな、アルペジオが聞こえてきたんです。基礎練でよくある、シンプルなコード進行のやつ。
管楽器がその日の演目で使われるテクニカルなフレーズを吹いているのに対して、ギターはベーシックなことをしているので、びっくりしました。
ウォームアップの時に何をするかは人それぞれだと思いますが、簡単なことこそ、いつもの状態との違いがわかったりするものだよなーと、妙に納得してしまって。
このギタリストさん、なんかいいなーって思ったんです。
簡単なことをするから、意識できる
私自身、ここ最近はもっぱら演奏のしかたを見直していて。
というのも、演奏をしていると、右肩に必要以上のテンションがかかるんです。
長く練習した後や、本番の後だと、それが顕著にあらわれて。
「あれ、なんだか今日は妙に肩が凝るな」なんて思うことも。
とは言っても、楽器を抱えて演奏するんだから、そういうものだよね…という感じで、今まで何も対策せずに、後回しにしていたんです。
ですが、演奏にも支障が出るし、いいことないじゃん。「そういうもの」って勝手に思っちゃうの、良くないなと。ようやく、対策を始めました。
どんな対策かというと、とってもシンプルで。
演奏中、右肩にテンションをかけてしまったら、それに気づいて、修正するだけです。
どうしても、弾けるようになっちゃうと、すぐ弾ける簡単なところは置いといて、複雑なところを練習しがちなんですけど。
そういう部分って8割方「ギィィィ!!」ってなりながらやってることも多いんで、視野が狭くなっているんですよね。
逆に、すぐ弾ける簡単なことをやっている時って、もっと意識を広範囲にできるというか。
自分の状態に気づいて、修正するのも簡単になるんです。
だから、「熟練してきたからこそ、簡単なことをやる」のは、大事なことだと思っています。
ボクシングも同じだった
ギター以外からも吸収しよう!という思いで、課外活動にも力を入れている私ですが・・・
最近、ボクシングでも、似たような発見があったんです。
もう半年そこそこくらいかな?やってるんですけど、始めたての頃よりも、断然動けるようになってきて。
私が通っているスタジオでは、レッスンのレベル分けがされていて、好きなレベルを選んで受けられます。
なので、ちょっと慣れてきた頃、思い切ってレベルアップしてみたんです。
レベルが上がると、パンチを打つテンポが速くなったり、動きも複雑になったり・・・脳内大パニック。
でも、このレベルにもついていけるようになりたい!と、必死に食らいつきました。
しばらくレベルを上げながらレッスンに通った後、また初心者レベルのレッスンを受けてみたんです。
すると、フォームを意識する余裕が出てきて。結果的に、動きがハチャメチャじゃなくなるぶん、レベルが下がっても、しっかり身体を使えるようになっているんですよね。
消費カロリー、むしろこっちの方が大きいじゃん!みたいな現象が起こりました。
一度レベルを上げたら、上げっぱなしではなく、下げてみるのも効果的なんだと。
単純に、自分の成長に気づいてモチベーションも上がるのも、いいんですよね。
今は、フォーム改善のために、背伸びレベル2:初心者レベル8ぐらいの割合で受講しています。
あー、これって本当に、ギターの練習も似たような感じですよね。
「慣れてきた」ら、立ち戻ってみる
本当に、慣れというのは恐ろしいもので・・・
できてしまうからこそ、複雑なことばかりに意識が向いて、簡単なことを疎かにしてしまう。
それに気づかせてくれた、オーケストラのギタリストの方に感謝です。
簡単なことに、もう一度向き合ってみると何か新しい発見があるかもしれません。
これを機会に、あらためて、簡単なことをやってみませんか?