ギターを弾く上で必要なのは相対音感だ、とよく言われます。
私は小さい頃ピアノを習っていたためか、精度はそこまで高くないですが、楽器の音のドレミがギリギリわかる程度の音感があります。なので、いつも脳内では「音名」で歌います。
ただし、「音名」で歌うことはギターという楽器を演奏する上では少し扱いづらく、アドリブの練習をする壁となっていました。
そこで、ギターを練習する時には「階名」で歌うことにしました。「固定ド」から、「移動ド」への大転換です。
固定ド(こていド、英語: Fixed do)とは、音名のCを「ド」とし、「ドレミファソラシド」を階名ではなくイタリア語式音名として考える、または歌う方法。
Wikipediaより
移動ド(いどうド、英語:Movable do)とは、「ドレミファソラシド」を音名ではなく階名として考える、または歌う方法。
Wikipediaより
以前も似たような悩みから絶対音感と相対音感について記事を書いています。この時にもいろいろ試していたのですが、方法を変えてみたら少し前進したので、ご紹介したいと思います。
私と同じように固定ドに慣れてしまっているけれど、ギターを弾くために移動ドに転換してみたい方のご参考になれば幸いです。
なぜ「移動ド」の練習をするか
移動ドの練習をして目指すところは、指板の相対的な位置情報を脳内にインプットすることです。
私が階名呼びに転換しようと思ったきっかけは、このようなものでした。
- 練習してた時とキーが違うと同じフレーズを弾けない
- ポジションが違うと同じフレーズを弾けない
- キーが違っても同じフレーズは1パターンとして覚えたい
ギターという楽器の特性を十分に享受できていなかったんです…もったいない。
本来、ギターはキーが変わっても押さえる場所をズラすだけで同じフレーズを弾くことができます。
固定ドで練習していると、キーが異なるだけで実は同じフレーズだった…といったものに気付けずにいることが多いです。
また、そのような同じフレーズを階名呼びでまとめてしまえば、「ドレミソフレーズ」などと名前をつけて、指板の並びと合わせて覚えられるので楽になると思いました。
「ドレミ」と呼ぶか、「度数」で呼ぶか
メリットばかりの移動ドですが、固定ドに慣れている人だと少し問題があります。
例えば、Gメジャーキーで階名「ド」(音名は「ソ」)の音でも、脳では「ソ」だと認識します。階名と脳内の呼び方が一致していないため、違和感を覚えてしまうのです。
移動ドを意識する時に、呼び方を「ドレミ」にするのを避けたいと感じて、それ以外の呼び方にするか、違和感を飲み込んで「ドレミ」と呼ぶかどうかの選択に迫られます。
私も以前は違和感を避けたいと思い、「度数」で呼んでいました。つまり、「1,2,3…」という「ドレミ」以外の呼び方をしていました。ですが、これだと不都合があり、最終的には「ドレミ」で呼ぶことにしました。
脳内との不一致問題はあったのですが、それでも練習して慣れるという選択をしました。
なぜそうしたかというと、「度数」で呼ぶことは私にとってはこの2点が不都合だったためです。
- 「いち」「さん」…と1音節でないものが多いため歌いづらい
- 数字だと感覚的に音の高さが捉えづらい
いまだに気を抜くと音名呼びになっていることがありますし、おそらく実際のセッションで演奏している最中は、練習よりもそうなってしまうと思います。
ですが、せめて練習の時は階名呼びを徹底することで、耳と目でインプットされたフレーズのアウトプットが次第に可能になるのではと考えています。
練習方法
実際に「指板の相対的な位置情報を脳内にインプット」するために私がやった練習方法をご紹介していきます。
- 6弦ルートのマイナーペンタポジションでアドリブする練習
- 練習したフレーズを5弦ルートのポジションで弾く
- 1と2を行き来しながらアドリブをする
- キーの違う曲でやってみる
これらの練習を、必ず「階名」で歌いながら練習します。止まりながらでも、ゆっくりでもいいので、脳が認識できる速度でやります。
この方法だと、特定のフレーズを他のポジションで弾く練習にもなりますし、同じキーの中でポジションを移動しながら練習することもでき、実践的です。
基本的に指板の見方はマイナーペンタを中心にしているのですが、呼び方はメジャースケールに合わせているので、マイナーペンタのルート音を「ラ」と呼ぶことになります。
こうすると、ペンタのポジションとメジャースケールのポジションを重ねて見ることができます。
私みたいなメジャースケール畑で育った人にとっては、すんなり入ってきて、とても使いやすいことが判明しました。
「移動ド」の練習で身についたこと
「階名」で歌いながら練習することで、以前から前進したと思えるポイントはこちらです。
- 練習効率が上がった
- 異なるポジションで同じフレーズが弾けるようになった
- ペンタとメジャースケールが指板上で重なって見えるようになった
一番大きいのは、やはり練習効率が上がったことです。
異なるキーでも同じフレーズを一括りにできるようになるので、フレーズのインプット自体はひとつのキーで行なっても、キーが違う曲への移行がスムーズになりました。
もう、なんというか、「移動ドだと違和感ある!無理!」と思わずに、早く練習しておくべきだった…と思いました。
固定ドだった人にも、ギター演奏をする上では効果がある練習方法だと思うので、ぜひ試してみてください。