作曲をしてみたいけれども、どうやって始めたらいいかわからない。
私が初めて作曲した時はまさにこんな感じで、その質問をぶつけられるような知り合いもおらず、なんとかゴリ押しで完成させた記憶があります。
ただ、1曲目を作ってしまったら2曲目を作るハードルは自然と下がって、何曲か立て続けに作ることができました。
それからしばらく(10年くらい…)曲作りをしていませんでしたが、外出自粛の後押しもあって、5月ぐらいから仲間と同じテーマで作曲するという遊びを始めました。
その遊びを通して、私も作曲が初めてだった仲間も1ヶ月2曲ペースで生み出すことができています。
作曲が初めての友人はきっかけがなかったとしても、作曲経験のある私ですら長いブランクで作曲をする腰が重くなっていたところからの、急にこのハードルがなくなった感じ。
これらの経験から感じたのは、まずはじめの1曲を完成させちゃうというのが本当に大事だということでした。
なので、まずはじめの1曲を作るのに役立つ考え方、フローをこの記事でまとめました。作曲したいんだけどどうしたらいいかわからないという方の参考になれば幸いです!
はじめの1曲で意識すること
まず、1曲目を完成させるのに意識できると良いなーと思ったのはこんなことです。一つずつ説明します!
- 完成させることが一番大事
- 短くていい
- 既存曲と比べない代わりにいいとこ取りする
完成させることが一番大事
これは本当に、一番大事です。作曲した!という実績をまず作ってしまえば、2曲目はなんとなく勘所がわかったところからスタートできると思います。
なので、1曲目はクオリティは置いておいて完成させることだけを目指すのがおすすめです。
実際に、仲間と作曲チャレンジを始めた時も、「まずはどんな形でもいいから完成させよう」という感じでやりました。
そして、完成させやすくするために縛りを設けました。それが次の項目です。
短くていい
普段聴くような曲って、3分以上あったりするものが多いと思います。Aメロ、Bメロ、サビ…なんて構成で。
これを目指すとなかなか完走できなかったりするものです。短くてもいいから、はじめはとにかく完成させることを目指します。構成も8小節区切りの繰り返しなどで始めると気持ちが楽です。
学校で習う「赤とんぼ」は8小節の繰り返しですが名曲ですよね!
私が仲間とチャレンジした最初の曲は、「32小節で作ろう」ということにしました。この場合、8小節区切りでAABAとか。ABABとか。ジャズのスタンダードや讃美歌はそんな感じですね。
なんだかできそうな気がしてきませんか?
既存曲と比べない代わりにいいとこ取りする
自分の好きなアーティストをはじめとした既存曲クオリティを目標にしないようにしましょう。初めてではそんなに作り込みはできませんし、比べているといつまで経っても完成しません。
その代わりに、好きな曲のコード進行をもらってくるとか、構成を参考にするのはアリです。
文字を習うときもそうだと思いますが、お手本を元にバランスなどを覚えていきますよね。それと同じ感覚で、既存曲の骨組みをお手本にしてしまいます。
コード進行や構成といったものは初めてだとどうすればいいのか分からず、行き詰まることも多いのと、作っていくうちに「型」のようなものが馴染んで自分でアレンジすることもできるようになるので、はじめはあっさりもらってきちゃうのがおすすめです。
かんたんフローチャート
最初に気持ち的なことを書いてしまったのですが…手を動かしてみないことには始まらないですよね。
そこで、「どうやって作ったらいいの?」がわかる簡単なフローチャートを書いてみました。人によって作り方は様々だと思いますが…私のやり方はざっくりとこんな感じです。
- お題を決める(省略OK)
- 構成を決める
- コード進行を決める
- メロディーを作る
たまに3と4は入れ替わったり同時進行だったりしますが…それも含めて説明します。
1. お題を決める(省略OK)
やらなくてもいいのですが、これを決めておくと進めやすいです。
何もないところから生み出すのは難しいですが、縛りを設けると生み出すのがちょっとラクになります。
あの、「ギター弾くんだー」っていう話の流れから、「なんか弾いてー!」って言われると難しいのに似てますね。たぶんこれでパパッと弾ける人は、こういう時に何を弾くか決めてる人だと思います。
そんな感じで…たとえば、こういったお題を決めておくと作りやすくなると思います。
- 写真から連想した曲(画像で縛る)
- 明るめな楽しい曲(形容詞で縛る)
- CMっぽい曲(イメージで縛る)
2. 構成を決める
何か作る時には設計図があると迷いがなくなるのでおすすめです。
その設計図になるものが、「構成」です。これは冒頭に少し書きましたが、全体で何小節あって、Aメロ、Bメロ、サビ…のようなカタマリをどういう風に登場させていくか決めます。
基本は既存曲の真似で良いと思いますが、おすすめは単純なやつ。AABAとか、ABABとか。私も大体これにちょっと間奏を入れたり、イントロ入れたりとかです。
3. コード進行を決める
Aが何小節あって、Bが何小節…のような構成を決めたら、それぞれのカタマリにコード進行をつけます。
ここは、はじめの方に書いた通り、既存曲の真似をするとある程度カタチになるのでおすすめです。
サンプルのコード進行を書いておくので、迷ったらこれを組み合わせて使ってみてください。1小節にコードを2個使うとかアレンジするのもアリです。
一応同じコード進行の既存曲タイトルも書いておきます。全部キーはCメジャーです。
| C | Am | F | G |
| Dm | G | C | C |
| C | G | Am | F |
| C | G | Am | Em |
| F | C | F | G |
コード進行は、実はセクションがA・B…とあるからといって、違うものにしなくても良かったりします。メロディーが変われば変化がつくからです。
私の作った曲の中にも8小節のコード進行のカタマリを延々と繰り返しているけれど、メロディーに変化をつけてA-B-間奏-A-Bという構成になっているものがあります。貼っておきますのでチェックしてみてください。
4. メロディーを作る
コード進行を決めたら、ついにメロディーをつけていきます。これは、コード進行を流しながらの方が響きがわかりやすくておすすめです。
コード楽器がある人は弾きながら歌うのでもいいですし、ループを作ってから歌うのでもいいと思います。
iphoneの人であれば、「GarageBand」というアプリでコードが簡単に入力できるのでそれもおすすめです。(ここでは使い方の紹介は省略します)
コードが先?メロディーが先?
冒頭で「コードを作る」と「メロディーを作る」の順番は入れ替わったり同時の時もあると書きました。
たとえば、鼻歌でフレーズが浮かんだ場合…この時はメロディーを先に作るのが良いと思います。それは何にも縛られない自分ならではのフレーズだと思うのできっとオリジナリティが高いはずです。
パッとフレーズが浮かばないなあという時は、コードの響きを先に作るとインスピレーションが湧きます。お部屋の雰囲気を見てから、それに合う家具を買いにいく感じです。候補を絞った中から家具を選ぶことができるのと同じように、フレーズが出てくると思います。
最近の私は、コードを先に作って雰囲気を確定させてからメロディーを作ることが多いですが、あえてそれに縛られずに作りたい時はメロディーを優先させます。1曲の中で混ぜて組み合わせることもあります。
こちらの曲はAメロはコード優先、それ以外はメロディー優先で作ったものです。先ほどご紹介した曲と違って、メロディーを優先したことで、型に囚われず1曲の中で変化をつけられた曲かなと思っています。
同時の場合はどういうことかというと、ソロや弾き語りの人が演奏しながら作ってしまうような時です。こちらの動画の曲は、まさにそういう感じで作っていきました。
メロディーとコードを同時進行で作るのが良いのか、順番に作った方が良いのかについて考えている記事もあるでよろしければ合わせてお読みください。
どうやってアウトプットする?
せっかく作った曲なのでどんな感じになったか実際に聴ける形でアウトプットしたいですよね。
一番手軽なのは自分で演奏してしまうことなのですが、自分のパート以外もあったり2人以上必要だとそうもいかないですよね。
「一人で作る」という前提でいくつかアウトプットのアイディアをご紹介します。一番やりやすい方法でまずは試してみてください。
- 自分で演奏して録音する
- DTMアプリを使う(GarageBandなど)
- 楽譜作成アプリを使う(MuseScoreなど)
自分で演奏して録音する
これが一番お手軽です。ソロや弾き語りの方であれば間違いなくこれです。
パートが多い場合は、ルーパーを使って演奏してみるのもありだと思いますし、多重録音をするのも良いと思います。
私はまだやったことがありませんが、ひとりセッション動画を作ってしまうのもアリかもしれませんね!
こちらの記事は複数人でセッション動画を作った時の方法をご紹介していますが、一人で全パート演奏すればひとりセッション動画になります。
DTMアプリを使う
DTMを使って作曲にチャレンジしたい方や、それなりの音源を作ってみたい方にはこちらがおすすめです。慣れてくれば、作りながら音源化することができます。
DTMアプリは、声や楽器の音を録音する以外に「打ち込み」という機能があり、楽器、音の高さ、強さ、長さ、タイミングなどを指定して自動演奏することができます。
そして、録音も打ち込みの音もアプリ上で重ねることができるので簡単にオケの音源が作れてしまいます。
「打ち込み」は少しずつ入力するので手間はかかりますが、覚えてしまうとかなり便利です。
iPhoneやMacには「GarageBand」というDTMアプリがはじめからインストールされています。無料とはいえそれなりの完成物ができるので、私もこれで曲を作っています。
一緒に作曲で遊んでいる仲間のドラマーも、これまで全く触ったことのなかった「GarageBand」ではじめは音声を録音して重ねていたところから、今や自分で打ち込みをしてゲームのサントラのような曲を仕上げています。
アップルユーザーの方であれば、試しに触ってみることをおすすめします。
私が打ち込みだけで作った曲がこちらです。自分では持っていない管楽器や弦楽器、打楽器などの音も全てこのような感じで演奏してくれます。
楽譜作成アプリを使う
演奏用に楽譜を残しておきたいという方、楽譜に慣れている方におすすめです。
私も、ソロギター用の曲は最終的に自分で演奏するので忘れないように楽譜を作りながら仕上げていきます。
もちろん手書きでもいいのですが、アプリだと裏技的に自動演奏機能で「聴ける形」にできるのでご紹介しました。オマケ機能ではあるので、出来上がりを確認するための補助用といった音質です。
MuseScoreというアプリを私は使っていて、こちらも自動演奏してくれるので、試しに使ってみたいという方は無料ですのでおすすめです。
1曲目を作ってしまえば楽しい
何回も言ってしまうのですが、まずは1曲目を完成させるのが本当に大事です。
1曲目を作る時は、やったことがないから、どうしたらいいのかわからないという感じで、本当に試行錯誤だと思います。そこで諦めそうになることもあると思います。中学時代の私は諦めちゃいました…
なのですがその過程を踏んで、どうにか1曲完成させた!という実績ができると、不思議と2曲目を作るハードルが下がっていることに気づきます。
さらに、2曲目からは、前作とアプローチを変えてみたり、遊んでみたり…やれることが増えてきますし、自分のやり方が少しずつ見えてきます。
私も仲間との作曲遊びでいろいろ実験しながら作っていて、毎回やり方を変えているのが楽しくなってきました。
「ひとつ完成させた」という魔力はすごいものです。ぜひ記念すべき1曲目を完成させてください!