日本に住んでいると夏場は梅雨・台風で湿度が上がり、冬場は乾燥する…楽器にとっては厳しい気候です。
梅雨と台風どちらも酷かった夏、私のギターもネックが見事に逆反りしました…
その時にお世話になったリペア屋さんの一言。「今年はお客さんがすごく多いんですよ」
湿度で楽器に問題が出るのは人ごとじゃないということが伺えます。
相棒が傷ついた時の悲しさは味わいたくないですよね…
私は高校時代、ギターの表面版を割った経験があります。
修理で傷痕が分からないくらいに治りましたが、割った直後はショックのあまり公園を泣いて走りまわるほどでした。(同期の中で笑い話になっている実話です)
そんな私は、今では日常的に状態をチェックするのはもちろん、便利アイテムも使いながらギター管理をするようになりました。
対策さえしていれば、最悪の状態は免れられます。
今回はギターを守るための「湿度対策アイテム」と、それらを選ぶポイントをご紹介したいと思います。
湿度計を設置しよう
通常、湿度は40-60%が適度とされていますが、ギターの置いてある場所の湿度がどれくらいか把握していますか?
日本だと、雨が多い夏だと70%を超える日、乾燥する冬だと30%台を下回るどころかデジタルの湿度計では振り切れて「LOW」と表示される日も…
これほど湿度の振れ幅が大きければ、季節の変わり目で楽器に不具合が出るのもうなづけますね。人間が時を同じくして風邪をひくのと似ています。
ギターの不調を予防する第一歩として、保管している場所に湿度計を設置することをおすすめします。
まずは環境の変化を把握できるようにし、その上で対策をするのが一番です。
今の湿度が適度なのかそうでないのか、目に入ってくればOK。
以下のようなデジタル時計に温度・湿度計がついているものは置きやすくて普段使いしやすいです。
私はクローゼットにしまってある二軍のギターやケースもあるので、部屋に置いてあるものとは別に開けた時に湿度チェックができるように、ハンガーで吊るせる湿度計をつけています。
ギター本体の湿度対策アイテム2つ
湿度調整機能付きフレットガード
「湿度調整機能付きフレットガード」という一石二鳥アイテムがあります。
その名の通りなのですが、この板をフレットと弦の間に挟むことで運搬時のフレットの削れを防ぎ、かつ板の間にはシリカゲルが挟まっていて湿度調整をしてくれます。
似たような商品がいくつか出ていますが、板の端が縫われていないものだと使い込んだ時に中のシリカゲルがポロポロ剥がれ落ちてくるので、こちらの「E.D.GEAR」のもののように縫われている方がおすすめです。
ギターケースに入れる湿度調整剤は他にもありますが、フレットガードにしたのは理由があります。
それは、以前ギターを楽器屋さんに買い取ってもらった時に「フレットがかなり減っている」と言われたのがきっかけでした。
激しいプレイをしているわけではなかったのですが楽器屋さん曰く、「運んでいるだけでもフレットが減ってしまう」ということでした。
長い付き合いになってきたメインギターも、今のところ買い取ってもらったギターほどのフレット削れはありません。
このアイテムだけのおかげではないと思いますが、湿度が原因の大きなトラブルも今のところ起こっていません。
指板の反り対策にはオイルを
湿度で状態変化が大きいのはネックですが、その対策で活躍するのが「オイル」です。
以前、友人がベースのネックが反ってしまった時、一緒にリペア屋さんに行きました。
この反りは乾燥によるもので、はじめ見てもらった時に「トラスロッドを回すだけで治るかどうか…」と言われるほどでした。
ですが、その場で指板にオイルを塗ってもらったらほとんど反りが戻り、少しトラスロッドを回しただけで回復しました。
この様子を見て、保湿することの大事さを改めて感じました。
指板がローズウッドなど、特に塗装されていないものをお使いの場合は、弦を交換する時など定期的に保湿されることをおすすめします!
私が使用しているオイルは、よく楽器屋さんでも見かける「オレンジオイル」です。
この指板用オイルもいろいろな意見があるみたいですね。
「レモンオイル」や「オレンジオイル」などに含まれる酸がないものの方が指板を痛めなくていいとか。
私は今のところおかしなことになってないので、オレンジオイルを使い切るまでは「まあいいか」と思っています。
もし気になるようであれば、酸が入っていないオイルも販売されているので、こちらを試されると良いかもしれません!私もオレンジオイルが無くなったら試してみようと思います(いつ無くなるかな…)
室内の湿度管理アイテム
冬場の味方、加湿器!おすすめは「気化式」
冬場はネックが反ったり、ひどい時だと楽器が割れてしまうくらい乾燥します。
そんな冬場に大活躍するのが、加湿器です。
リペア屋さんでは冬場は複数台稼働させているくらい。
楽器だけではなく、人間にとっても感染症のリスクから乾燥は大敵なので…加湿器は今や必須アイテムですね。
加湿器には加湿方式の違いで種類がありますが、私がおすすめしたいのは「気化式」です。
他に代表的な加湿方式に「超音波式」があります。デザイン家電などでよく見られる加湿器に多いのが「超音波式」、加湿空気清浄機に多いのが「気化式」です。
以前は超音波式のものを使っていたのですが、ギター本体やピックガードをはじめ、あらゆるツルツルした面に白い粉のようなものがつくことに気づきました…
これは超音波で水に含まれるミネラル成分なども水と一緒に噴霧し、水分が蒸発した後、白い結晶となって室内にある家具などに残ってしまうことが原因だそうです。
無害ではあるのですが、いちいち汚れてイヤだなあ…と思ったため、加湿空気清浄機にアップグレードしちゃいました。
気化式の加湿方式であれば、結晶はフィルターにつくため、室内に噴霧される心配は無いようです。
ワンルームは「風呂場に水を張る」もアリ
原理は気化式の加湿器と全く同じです。
ワンルームのお部屋にお住まいの方であれば、「お風呂場に水を張る」とか「絞ったタオルを部屋に干しておく」といった対策も有効です。
夏場は「エアコン」+「サーキュレーター」で凌ぐ
最近の夏は雨がひどいですね。正直、乾燥よりも湿度対策の方が難しいと感じています。
複数の対策を組み合わせて「やれる事はやる!」みたいになっています。
私が行っているのは、エアコン+サーキュレーターの複合技。
エアコンは通常の冷房でも湿度を下げることはできますが、どうしようもない時は除湿モードに。
そこに、サーキュレーターで空気を循環させて除湿を効率よくできるようアシストしてもらいます。
サーキュレーターも、以前は業務用の大きい扇風機というイメージがありましたが、今はコンパクトで低価格のものがたくさん出ています。季節家電の進歩は本当にありがたいですね…
二軍のクローゼットには、サーキュレーターというわけにはいかないので、ハンガーにかけられるクローゼット用の湿度調整剤を付けています。
本当に、「やれること積み上げ型」の対策です。
本当は除湿機もあると強力なのでしょうけれど、空気清浄機も置いてしまうと部屋の場所を取りすぎるので、除湿機は諦めています。
…が、最近ものすごくコンパクトな充電式の除湿機が出たみたいですね。どうしようもなかったら、こちらも試してみたいです。
余談ですが、以前とてもジメジメする部屋に住んでいたことがありました。カバンに入れていた部屋の鍵が、ひと夏で変色してしまうくらい…
本の中に現れるチャタテムシ(湿度が高いところが大好き)が部屋にいっぱい住み着いてまして…彼らと共存しておりました…もう、ここまでくると笑ってしまいますよね。
この時はエアコン+サーキュレーターだけでは無理で、部屋に大きな除湿パックを置いていました。その時にこのコンパクト除湿機があったら良かったなあと思います。
違和感があったらリペア屋さんへ
…と、いろいろ対策しても、実は楽器の材質によっては楽器の値段関係なく季節でネックが動いてしまうこともあります。
私が持っているメイプルネックのテレキャスが、まさに夏に逆反りしました。
弾きにくくなったなあ…など、違和感を感じたら、リペア屋さんや楽器屋さんなどで見てもらいましょう。
自分の体がいつもと違う、おかしいと思ったら病院に行くのが良いですよね。楽器もそれと同じです。楽器の病院にあたるのが、リペア屋さんや楽器屋さんでしょうか。
例えば全国展開している島村楽器など。
もちろん、ギターを購入した楽器屋さんでも、調整やリペア屋さんの紹介など相談に乗ってくれると思います!
できるところから、日頃のケアを
湿度から楽器を守る第一歩は部屋の湿度を把握することから!
その上で、楽器に対して・通常保管している部屋の両方からの対策をご紹介しました。
放置していたら楽器に異変が…となってからでは遅いので、できるところから、日頃のケアをするのが大事です。
今回ご紹介した湿度対策グッズなども活用して大切な楽器と長く付き合っていきましょう!