最近は曲を作る時、メロディからではなくコード進行から作っています。
以前はメロディから作っていましたが、今は定番的な進行を勉強する意味も込めてコード進行を先に作っています。
ただ、コード進行をあまりにも定番のものに置きすぎるとちょっとつまらない曲になってしまうんですよね。
そのつまらない曲になってしまう原因のひとつが、「ダイアトニックコード」で構成されるコード進行であるということです。
ダイアトニックコードとはなんぞや?という方もいらっしゃると思うので、私が作った曲を例に、ダイアトニックコードではないものも入れたコード進行を使った曲作りについてご紹介したいと思います。
ダイアトニック・ノンダイアトニック
ダイアトニックコードとは
ダイアトニックコードとは、広義的には特定のスケールにある音のみで構成されたコードのことを言います。
この記事でお話するダイアトニックコードはもう少しだけ範囲を絞って、「メジャースケール7音のみで構成されたコード」のことを言います。だいたい会話で出てくるダイアトニックコードはこれです。
Cメジャーキーの曲だとしたら、Cメジャースケールである「ドレミファソラシ」7音のみで構成されたコードで、それぞれのルートごとに以下のような7種類のコードがあります。カッコ内が構成音です(これはまる覚えする類のものです)
- CM7(ド,ミ,ソ,シ)
- Dm7(レ,ファ,ラ,ド)
- Em7(ミ,ソ,シ,レ)
- FM7(ファ,ラ,ド,ミ)
- G7(ソ,シ,レ,ファ)
- Am7(ラ,ド,ミ,ソ)
- Bm7♭5(シ,レ,ファ,ラ)
この7つのコードは構成音がメジャースケール上にあるので、同一キーの曲においてこれらのコードを使っている限り枠から外れない安心感があります。
ノンダイアトニックコードとは
ダイアトニックコードと逆に、同一キーの中で構成音がメジャースケールから外れた音があるものをノンダイアトニックコードと言います。
例えばCジャーキーの中でE7は構成音にソ♯が入るので、ノンダイアトニックコードです。
ダイアトニックコードを使っている曲は安心感があるかわりに聴く側からは展開がある程度予測できてしまいます。音楽を聴いていて、次の音がなんとなく予想できるのはその原理です。
なので、曲中に少しだけノンダイアトニックコードを入れることによって、聴く側の予想を裏切り、展開に変化をつけることができます。
この後、私が作った曲を例に具体的にご説明していきます!
作った曲紹介
ノンダイアトニックコードを含む進行で作った曲はこちらです。後ほどコード進行とともに解説してゆきますが、「ちょっとオイシイね!」といった音を意図的に入れています。
どこだかわかりますか?
「Bossa de chocolate」
「チョコレートのCM曲」というお題で作りました。チョコレート→南米→ボッサという安直な連想ゲームです…
実は「ウイスキーが、お好きでしょ」と同じ進行
ボッサを作ろう!ということで、ブルースみたいな感じでボッサも定番進行ってあるのかな?と思って調べてみたのですが、意外とカチッと決まった進行がなさそうだったので、自由に作りました。
早速コード進行のタネ明かしをしてしまうと、石川さゆりさんの「ウイスキーが、お好きでしょ」と同じコード進行です。
この曲のキーはE♭メジャーですが、Cメジャーに直して進行を書くと、こんな感じになります。
| Dm7 | G7 | CM7 | FM7 |
| Bm7♭5 | E7 | Am7 | Am7 A7(♭13) |
マーカーがついているコードがノンダイアトニックです。
今回特筆すべきは、5,6小節目のコード進行になります。ちょこっとだけ音楽理論的な話をすると、7小節目のAm7に着地するマイナー2-5-1ということになります。
これが成立する理由を解説すると長くなってしまうので省略しますが、しっかり成立する流れだけどノンダイアトニックコードを使うことで意外性を出すことができます。
その意外性のポイントとなる音が、E7の構成音にメジャースケール内には存在しないソ♯(♭13)の音です。私の曲だと、キーがE♭メジャーなのでシの音。これが「ちょっとオイシイ」音となっています。
ボッサっぽく裏コード
これはオマケ的な話になるのでサラッと読んでいただければと思いますが、ボッサっぽくしたくてイントロの最後のコードで遊んだお話を少ししたいと思います。
Cメジャーキーに直したイントロのコード進行がこちらです。マーカーがついているコードが遊んでみたコードです。
| Dm7 | % | G7 | % |
| Dm7 | % | G7 | D♯9 |
このコードもCメジャースケールではない音が入っているノンダイアトニックコードです。
これは「裏コード」と呼ばれるものなのですが、とあるセブンスコードと構成音がほとんど似ていて置き換えられるセブンスコードのことを言います。
イントロのコード進行の最後のコードは、本来であればDm7に着地するA7(♭13)というコードが妥当なのですが、このコードと似ているものに置き換えた結果、D♯9のコードになりました。
少しだけ解説すると…それぞれのコードの構成音がこんな感じで、マーカーがついている音が共通しています。1音以外共通なので、ほとんど同じものとみなして、置き換えられるということらしいです。
A7(♭13):ラ,ド♯,ミ,ソ,ファ
D♯9:レ♯,ソ,ラ♯,ド♯,ファ
音楽理論はこんな感じで「1音くらい違ってもわかんないよね!」といった、いい加減(?)なところが出てくるんですが…カッコよければOK!って感じです。
この裏コードを入れることで、フワッとした感じと、ボッサっぽさを出すことができます。
キリンジの「エイリアンズ」という曲にも裏コードが登場していて、やはりフワッと感が出ています。Aメロの直前のコードです。
音楽理論の勉強をした教則本
今回のトピックはゴリゴリに音楽理論って感じだったのと、少し端折ってしまった部分があるので、ご参考までに私が音楽理論の勉強をした時の本をご紹介します。
もう絶版になってしまっていて一部のお店では値段が高騰しているのですが…「コードで覚える音楽理論」という本です。
この本は理論を初めて勉強するギタリスト向けといった感じで、難しい話は置いておいて、潔いくらい「音楽理論の基本だけを押さえる!」ということに徹しています。
先生と生徒の会話で構成されるマンガスタイルで、図が多め、文字が大きく文章は必要最低限で読みやすいです。
コードを中心に音楽理論を勉強できるので、ギターがある程度弾けてコードに馴染みがある人にとっては入りやすいと思います。
逆にもっと音楽理論の知識を深めたい!という人にはあっさりしすぎて向かないかもしれません。
レッスンで習う前に別の理論の本を購入していたのですが、その本は体系立ててかなり細かく説明されているので、何もわからない状態で初めの章から順番に読んだらついていけなくなり挫折しました。
理論初心者という方はまずザックリ基本を勉強するくらいがちょうどいいかもしれません。