ギターライフ

ジャンルを超えたトップギタリストの共通点

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「ギターの秘密を知る休日」として、題名のない音楽会に村治佳織さん、渡辺香津美さん、ROLLYさんという豪華なお三方が出演されていました。

クラシック、ジャズ、ロックのギター代表選手たちがジャンルの垣根を超えてギターの魅力を語るというのもので、ギター好きにとっては共感する部分が多かったり、気づきがあったりであっという間の30分でした。

お三方それぞれのバックグラウンドから出てくるお話がとても興味深かったので感想を交えてまとめたいと思います。


お父さんがROLLYさんだったらゴリゴリメイクでギターを弾いていたかも 

それぞれのルーツを紐解くトークの中で、村治さんがそう仰っていました。たまたまお父さんがクラシックギタリストだったからクラシックギタリストになったと。

小さい頃からギターを弾いていたにもかかわらず「中学生の時に聴く音楽は光GENJIとかだったけれど、弾こうと思ったことはなかった」と仰っていたのが印象的でした。村治さんご自身も番組中「なんで弾こうと思わなかったんでしょうね?」と不思議そうに振り返られていました。

この番組とは別のインタビューで村治さんは「小さい頃から歯磨きをする感覚でギターを練習していた」とか、「自分はギターを弾く人なんだなあ、となんとなく思っていた」とコメントされていたのを見たことがあります。

クラシックギターの課題曲になるものは楽譜があることが前提になっていることが多いので、小さい頃から自然にギターと接してきた村治さんは楽譜がある曲を練習する、という感覚が無意識のうちに形成されいたのでしょうか。

私もバンドを始めた頃に楽譜がなくてびっくりしたことがあるのでそれに近しいのかな、とも思いました。それについてはこちらの記事で詳しく書いています。

昔は弾こうとも思わなかった、と言いながらも、話の流れでROLLYさんがパラダイス銀河を弾き始めたのをきっかけにクラシックギターらしい弾き方でさらっとパラダイス銀河を弾いてしまう村治さんは流石だと思いました。

楽譜が読めないけどギターは弾ける

ROLLYさんはいとこのお兄さんから、4つのコードを知っていればいつまでも弾いていられる、と教わってギターの楽しさを知ったそうです。

ロックギタリストや、ギターを始めるきっかけがギターヒーローだったような人に多いなあと思うのが、譜面は読めないけれどバリバリにギターが弾けるという人。私は譜面が読めるけれどそれ以上でもそれ以下でもないので、羨ましいなーと思うことがあります。

ROLLYさんは譜面が読めないから、レコードを聴いて耳コピして、こういうことをしたらかっこいいんじゃないか、というものを試していったそうです。

クラシックから入って間違えたら怒られる経験をしてるとなんでも試してみるという感覚が薄れてしまうので、大人になった今こそ間違えを恐れず試してみる精神は大事にしないとなあと思います。

譜面にはどんな情報が入っているのか、というROLLYさんから村治さんへの質問をきっかけに展開されたトークだったのですが、楽譜で運指や強弱などほとんど指定されているけれど、奏者の解釈によって違う演奏になるという点にROLLYさんがとても関心を持たれていました。

それを見て、ロックはかっこよさを突き詰めた結果がアーティストの個性になっていくんだな、と思いました。

おもしろかったのが、クラシックギターのトレモロ奏法の話になった時にロックギタリストは指二本でなんとか同じような音が出せないかと考えるというコメントをされていて、そのDIY精神がなんともロックだなと思いました(笑)


自分スタイルを見つける

渡辺香津美さんは、中学時代に演奏をしたステージで何か弾いて繋いでくれと言われてからアドリブの楽しさを知り、アドリブを突き詰めていったらジャズにたどり着いたそうです。

これは私がジャズを始めたきっかけに近いと思いました。ギターが2人いるバンドの中で自分がどのような立ち位置で弾くことを決めたらいいか迷い、ギター教室の門を叩いたらアドリブやりましょう、ジャズやりましょう、とレッスン内容が組まれたことを思い出しました。

そこから音楽理論を勉強し、コードの仕組みやどういう音が選択できるのかを知りましたが、まだそれを咀嚼して演奏に反映できている実感がありません…

渡辺さんはアドリブを弾くには音楽理論を知ってる方がいいけれど最後は自分スタイルだと仰っていました。この自分スタイルというのが、ROLLYさんも仰っていた、何がかっこいいかをいろいろ試した結果なのかなあと思いました。

私が今悩んでいるのは、この試してみるというのが圧倒的に足りていないことが原因なのかもしれません。

個人的にクスッとなった話

杢目フェチ

それぞれの所有している楽器のトークになった時、渡辺さんが杢目フェチだと仰っていました。わ、わかるー!!

今回メインで弾いていたのはポールリードスミスのフルアコのような形状のもので、杢目が素敵でした。その他にも所有楽器でROLLYさんが食いついていたキルテッドメイプルっぽいナチュラルカラーのギターが紹介されていて個人的にグッときました。ギターは木でできていて、個体ごとに杢目の違いがあっていいですよね。

杢目の話からは逸れますが、所有楽器トークでもう一つ。村治さんが使っているギターは昔使っていたものだったようなのですが、10年くらい他のギターを回ってもう一度弾いてみたらいい音になっていたからメインで使っている、というお話をされていました。

音色が成熟したのか、はたまたその楽器に合うギタリストになったのか、というお話になっていて素敵だなあと思いました。私のクラシックギター、そろそろ10年経つけど成熟してるといいなあ…(笑)結構いい音で気に入ってるんです。

タミヤの2000番

秘密兵器として村治さんがおもむろにポーチから出してきたのはタミヤの2000番!クラシックギターを弾く人にはおなじみですね。

タミヤはあのミニ四駆のタミヤなんですが、模型のやすりを爪を磨く時に使うんです。つるつるにして弾くことで爪が弦に引っかからずいい音になるので、私も使っていました。

忘れてしまった時に感熱紙のレシートで代用していたのもまた懐かしい思い出…


ギターで会話する

お三方が話しながら、パラパラと誰かが弾き始めてセッションするような場面がところどころにありました。ギターで会話を楽しんでいるような、そんな感じでした。

それぞれに違った入り口からギターを始められていますが、お三方に共通して言えるのはギターが身体の一部になっているんだろうな、ということと、ギターが好きなんだな、ということでした。

入り口は違うけれど、ギタリストとして自分のスタイルを確立しているのは共通していて、最後のムーンリバーのセッションも、それぞれの個性が生きた素敵な演奏でした。

まだまだ続くギターライフ、もっと自由に、自分の身体の一部となるくらいに弾けるよう、自分らしい演奏を日々研究していこうと思ったのでした。

最後にROLLYさんの素敵な言葉をお借りします。

ギターは楽しくなったら弾けるようになる!